ガルンガン
祖先と神々、善の勝利を祝うバリ島最大の精神的祭礼
2026/01/20 - 2026/01/30
ガルンガンは、バリ・ヒンドゥー教における「善(ダルマ)が悪(アダルマ)に勝利したこと」と、祖先の霊が家族のもとに戻ることを祝う、バリ島で最も重要な宗教行事です。
年に2回、バリ島は「ガルンガン」の10日間、色彩と祈り、家族の絆に満ちた特別な時間に包まれます。210日周期のパウコン暦で行われるこの祭りは、善(ダルマ)が悪(アダルマ)に勝ったことと、祖先の霊が地上に戻ることを祝うバリ・ヒンドゥー文化の心臓部。村も家も寺院も、供物や音楽、線香の香りに満ち、島の“魂”が最も鮮やかに現れます。ガルンガンはバリの本質に触れる絶好の機会です。
祭りが始まると、村の通りや寺院の門にはペンジョール(竹のしなやかな飾り柱)が立ち並び、ココナッツの葉や果物、花で彩られます。ガムランの音、豚の丸焼きやスパイスの香り、白や黄色の正装で寺院や家族の祠にお供えを運ぶ人々…バリの精神と共同体の力が五感を刺激します。
主な見どころ
ペンジョール飾りと村の大変身
ガルンガンの象徴は、家ごとに立てられるペンジョール。竹の柱にココナッツの葉や米、果物、花を飾り、村全体がアートのような景観に。ペンジョールには豊穣と感謝、地の恵みへの祈りが込められています。
寺院の儀式とお供え
ガルンガン期間中、家庭や寺院で華やかな儀式が行われます。ヤシの葉や花、米、果物で作るバンテン(供物)を家寺や公の祠に捧げ、祖先の霊を迎えます。線香の香りが立ち込め、祈りや音楽、舞踊で寺院がにぎわいます。
伝統舞踊・音楽・コミュニティの集い
バロンやレゴンなどの伝統舞踊、ガムランの演奏が村々で披露され、コミュニティの集まりや寺院の行列、家族の再会で賑わいます。物語や食事を分かち合いながら、バリ文化とおもてなしの真髄を体感できます。
衣装とデコレーション
男性は白いシャツとサロン、ウデン(頭布)、女性は白いクバヤ、色鮮やかなサッシュやバティックのサロン姿。黄色と白が浄化と神聖さの象徴。家や寺院はペンジョールや花で飾られ、鮮やかな供物が並びます。
伝統グルメ&フード
ガルンガンは食の祭典でもあります。ラワール(香辛料とココナッツの和え物)、バビグリン(豚の丸焼き)、サテ・リリッ(香辛料ミンチの串焼き)、ジャジャ(米粉のカラフルな菓子)などが家族や近所でふるまわれ、ニンニクやターメリック、ココナッツ、炭火焼きの香りが島中に広がります。
文化・歴史的背景
ガルンガンの起源は、バリ・ヒンドゥー教の神話にさかのぼります。伝説によれば、かつてバリ島を支配していた魔王マヤデナワは、人々の信仰や宗教儀礼を禁じ、島を恐怖と混乱に陥れました。これに対し、インドラ神が天から降臨し、マヤデナワの軍勢と激しい戦いを繰り広げ、ついに善(ダルマ)が悪(アダルマ)に勝利します。この出来事が「善が悪に勝つ日」として、ガルンガンの精神的な核となっています。
この神話は、バリ社会における「ダルマ(正義・調和)」の価値観を象徴し、ガルンガンはその勝利と祖先の霊の帰還を祝う祭りとして定着しました。祭り期間中、バリの人々は家族や村の寺院で祖先の霊を迎え、祈りや供物、舞踊や食事で敬意と感謝を表します。ガルンガンの10日目には「クニンガン」と呼ばれる締めくくりの日があり、祖先の霊が再び天界へと戻ると信じられています。
ガルンガンは210日ごとに繰り返されるパウコン暦に基づき、年に2回行われることもあります。祭りの準備には家族やコミュニティが一丸となり、ペンジョール(竹飾り)の制作、供物作り、寺院の清掃などを通じて世代間の絆や地域の連帯が強まります。ガルンガンは単なる宗教行事にとどまらず、バリ人のアイデンティティや“見えない世界”との調和、そしておもてなしの精神を体現する、最も大切な精神文化イベントとなっています。
参加者の声
ガルンガンは家族が全員集まる日。みんなでペンジョールを飾り、お供えを作る。村が魔法のような雰囲気になり、子どもに伝統を教えるのが誇りです。
豆知識
- ガルンガンは210日ごとに行われ、年2回のこともある。
- 祭りは10日間続き、最終日のクニンガンで祖霊が天に帰るとされる。
- ペンジョールはすべて手作りで、飾りごとに豊穣や感謝の意味が込められている。
- バビグリンやラワールはガルンガンの定番料理で、ほとんどの家庭で作られる。
開催日程
ガルンガンは210日ごとにバリ島全域で開催。ペンジョールの下を歩き、寺院の儀式や家族の食卓を体験し、バリの精神と祝祭の空気を味わってみてください。
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