ホーリー
色と歓喜が舞う、インドの春の大祝祭
2026/03/02 - 2026/03/03
ホーリーは、春の訪れと善が悪に勝つことを祝う、インドのヒンドゥー教最大級の色彩豊かな祭りです。
毎年春、インド全土は「ホーリー(Holi)」の名のもと、色彩と笑い声に包まれます。2日間にわたり、都市の大通りも田舎の路地も寺院の中庭も、音楽やスイーツ、線香の香り、そして色粉(グラール)をかけ合う人々の歓声であふれます。デリーの大都市も、バラナシの細道も、ホーリーは誰もが参加できる「愛と再生、善が悪に勝つ」インドらしい祭典です。
ホーリーは単なるパーティではありません。ひんやりとした色水や粉の感触、甘いグジヤや冷たいタンダイの味、真っ白な服が虹色に染まる光景、太鼓や笑い声が響く空気…五感すべてで楽しむ、インドの開放的で忘れられない体験です。
主な見どころ
ホリカ・ダハン:炎で悪を祓う前夜祭
ホーリー前夜は「ホリカ・ダハン」と呼ばれる焚き火の儀式。町や村の広場に大きな焚き火が焚かれ、人々は歌い踊りながら火の周りを回り、古い物や象徴的な品を投げ入れて厄を祓い、新しい始まりを願います。これは善が悪に勝つプラフラーダとホリカの伝説に由来します。
ランガワリ・ホーリー:色に染まる祝祭本番
朝になると本番スタート。人々はグラール(色粉)や水鉄砲、水風船を手に通りへ繰り出し、友人も見知らぬ人もカラフルに染め上げます。太鼓や音楽が鳴り響き、家々を巡って踊り歌い、特にマトゥラやヴリンダーヴァン、ジャイプールでは大規模で熱狂的なホーリーが楽しめますが、インド中どこでも笑顔と色があふれます。
衣装とデコレーション
ホーリーの服装は「汚れてもいい白」が定番。白いクルタやパジャマ、古い服が一瞬でカラフルなキャンバスに変わります。女性は鮮やかなスカーフやドゥパッタを巻くことも多く、誰もが色まみれになるのを楽しみにしています。家や寺院はマリーゴールドやランゴリ、バナーや風船で飾られます。
伝統グルメ&ドリンク
ホーリーは味覚も祝祭。グジヤ(ナッツとカルダモン入りの揚げ菓子)、マルプア(シロップ漬けパンケーキ)、ダヒバラ(ヨーグルト団子)、プーランポリ、パプリチャート、カチョリなどが並びます。飲み物はバラやカルダモン、時にはバング(大麻)入りの冷たいタンダイが定番。屋台グルメやスナックも充実し、食の楽しみも満載です。
文化・歴史的背景
ホーリーの起源は非常に古く、グプタ朝以前(4世紀以前)のサンスクリット文献『プルヴァ・ミーマーンサー・スートラ』や『ナーラダ・プラーナ』、7世紀の戯曲『ラトナーヴァリ』(ハルシャ王作)などにも記述が見られます。もともとは春の訪れや豊作、自然の再生を祝う農耕儀礼として始まり、冬の終わりと新しい季節の始まりを祝う意味が込められていました。
宗教的には、ヒンドゥー神話のプラフラーダとホリカの伝説が中心です。悪王ヒラニヤカシプの妹ホリカが、信仰心の強い少年プラフラーダを火で焼き殺そうとしましたが、神の加護でプラフラーダは無事、ホリカだけが焼け死んだという物語です。これにちなみ、ホーリー前夜には「ホリカ・ダハン」と呼ばれる焚き火で悪を祓い、善の勝利を祝います。
また、クリシュナ神がゴーピー(村の娘たち)と色粉で遊んだという伝説や、ラーダーとの恋物語もホーリーの色遊びの起源とされています。北インドのマトゥラやヴリンダーヴァンでは、クリシュナ信仰と結びついた独自のホーリー文化が色濃く残っています。
ホーリーは「カーストや身分、性別、年齢を超えて誰もが一緒に楽しむ」平等と和解の祭りとして発展し、過去のわだかまりや争いを水に流し、新たなスタートを切る象徴的な日となりました。現代ではインド国内だけでなく、ネパールや世界中のインド系コミュニティでも祝われ、色と笑顔、希望のメッセージが国境を越えて広がっています。
参加者の声
初めてジャイプールでホーリーを体験しました。朝、真っ白なクルタを着て外に出ると、すぐに見知らぬ人たちが“ハッピーホーリー!”と声をかけながら、ピンクや黄色、緑の色粉を優しく頬や髪に塗ってくれました。通りには太鼓のリズムとボリウッド音楽が響き、子どもも大人も笑顔で踊り、頭上にはカラフルな水風船が飛び交います。手にしたグジヤの甘さと、線香や花の香りが混じる空気。気がつけば、全身が虹色に染まり、隣にいた全く知らない人たちと肩を組んで写真を撮っていました。あの日ほど、言葉も国籍も関係なく“ひとつになれる”と感じた瞬間はありませんでした。
豆知識
- 色には意味があり、赤は愛、青はクリシュナ神、緑は新しい始まりを象徴。
- ホーリーはカーストや身分の壁も忘れ、誰もが色をかけ合う平等の祭り。
開催日程
ホーリーはインド全土と世界中のインド系コミュニティで、ヒンドゥー暦ファールグナ月の満月(2~3月)に開催されます。最高の体験をするなら、現地で色と音と味と笑顔に包まれるインドの春の祝祭をぜひ体感してください。
開催日程は変更になる場合があります。最新の情報は公式サイトなどをご確認ください。
実際の様子
photo by Tayseer ALHamad
photo by Dr Partha Sarathi Sahana
photo by Kiran Jonnalagadda
photo by Barbora Hrdá
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