コルカタのデゥルガー・プジャ

芸術と信仰とコミュニティが街を彩る奇跡の祭典


2026/10/17 - 2026/10/22

ドゥルガー・プージャは、女神ドゥルガーが悪を打ち倒す勝利を祝う、コルカタ最大のヒンドゥー教のお祭りです。

毎年秋、コルカタの街は「ドゥルガー・プージャ」で巨大なアート空間へと変貌します。西ベンガル最大、そしてユネスコ無形文化遺産にも登録されたこの祭りは、5日から10日間にわたり、地元の人も旅行者も、数百万人が煌びやかなパンダル(仮設寺院)を巡り歩き、創造性と色彩、信仰に満ちた街の隅々を体感します。初めての訪問者も、地元の信者も、コルカタのドゥルガー・プージャは女神ドゥルガーの勝利とベンガル文化、そして人々の絆を祝う“街全体のお祭り”です。

線香や揚げ物、花の香りが漂い、太鼓やコンチシェル、笑い声が響き、シルクサリーの手触りや土の偶像の冷たさ…五感すべてで楽しむ祝祭。コルカタのドゥルガー・プージャは、宗教行事でありながら、アートフェスティバルであり、家族の再会であり、街全体がひとつになる体験でもあります。

主な見どころ

パンダル巡り:コルカタの“ポップアップ寺院”

祭りの中心は、各地に建てられるパンダル(仮設寺院)。どの地区も趣向を凝らし、世界の名所再現や社会問題をテーマにしたものまで、芸術性や創造性を競います。老舗のソババザール・ラージャ・バリ・プージャ、芸術性で有名なバグバザール、ラニ・ラシュモニやボラナート・マリック・バリなどは必見。夜になると街はライトアップされ、群衆がパンダルを巡り、写真を撮り、祭りの熱気に包まれます。

クマルトゥリ:偶像づくりの職人街

祭り前には、クマルトゥリ地区での女神ドゥルガー像作りの見学もおすすめ。何世代にもわたり受け継がれる職人技で、粘土から形作り、彩色し、衣装をまとわせる工程は、祭りのクリエイティブな魂を感じさせます。

文化パフォーマンス&コミュニティイベント

各パンダルは文化の発信地。音楽や舞踊、詩の朗読やアート展示が行われ、地元アーティストやミュージシャンが盛り上げます。料理やクラフトのコンテストもあり、市民参加型の祝祭ムードが続きます。

主要儀式:サプタミ、アシュタミ、ナヴァミ、ダシャミ

メインの儀式は、サプタミ(7日目)、アシュタミ(8日目)、ナヴァミ(9日目)に行われ、華やかな祈りや供物、香炉を持って踊る「ドゥヌチ・ナーチ」などが見どころ。最終日のダシャミには既婚女性がシンドゥール(赤い粉)を塗り合う「シンドゥール・ケラ」や、女神像を川へ運ぶ感動的なビサルジャン(流し)が行われます。

衣装とデコレーション

ドゥルガー・プージャはファッションの祭典でもあります。女性は赤白の伝統サリーやシルク、手織りの華やかなサリーで着飾り、男性は新調のクルタ姿。家やパンダルはマリーゴールドやイルミネーション、ランゴリで彩られ、女神像は金の装飾や鮮やかな衣装、花で美しく飾られます。

伝統グルメ&フード

食は祭りの中心。パンダルではコミュナルな「ボグ(精進料理)」が振る舞われ、キチュリ(豆と米の炊き込み)、ルチ、ラブラ(野菜カレー)、サンデッシュやラスグッラなどのベンガル菓子が並びます。屋台にはプチカ(パニプリ)、カティロール、フィッシュチョップ、コビラジカツ、デビルエッグなどコルカタ名物がずらり。ギーやスパイス、甘い香りが漂い、食べ歩きも大きな楽しみです。

文化・歴史的背景

コルカタのドゥルガー・プージャの起源は16世紀末、裕福な地主階級(ザミンダール)が自らの権威や財力、信仰心を地域社会に示すため、邸宅で盛大なプージャ(女神礼拝)を開催したことに始まります。当時のプージャは家族や親族、招待客のみが参加できる私的なもので、豪華な供物や音楽、舞踊、詩の朗読などが組み合わさった“社交と信仰の場”でした。

19世紀末から20世紀初頭、社会変革の波とともに「バロアリ(公共)プージャ」が登場します。これは複数の家庭や地域住民が資金を出し合い、誰もが自由に参加できる“市民の祭り”として発展。特に1905年のベンガル分割運動以降、ドゥルガー・プージャはベンガル人の団結や誇り、ナショナリズムの象徴となり、イギリス植民地支配への抵抗や社会運動の舞台ともなりました。祭りのパンダル(仮設寺院)や装飾、テーマには、時に社会問題や時事、政治的メッセージが込められることも多くあります。

現代のドゥルガー・プージャは、コルカタの“魂”とも呼ばれるほど、街と人々のアイデンティティに根付いています。祭りの期間には家族や親戚が帰省し、芸術家や職人が競い合ってパンダルや女神像を創作。女神ドゥルガーが魔王マヒシャースラを倒す「善が悪に勝つ」神話を祝うだけでなく、芸術・創造・コミュニティの力を感じる5日間です。2021年にはその文化的価値が認められ、ユネスコ無形文化遺産にも登録されました。

ドゥルガー・プージャは単なる宗教行事ではなく、家族や友人、地域社会の絆を深める“帰省と再会”の季節であり、ベンガル文化の誇り、芸術的創造性、多様性、そして現代社会へのメッセージを発信し続ける“生きた伝統”です。

参加者の声

写真家としてコルカタのドゥルガー・プージャは夢の舞台。色、光、表情…すべてが絵になる。バグバザールやソババザールで職人と語り、彼らの目の奥の信仰を撮影できたのは、単なる祭り以上の体験でした。

豆知識

  • 1つのパンダルの制作費が1000万円を超えることもあり、テーマも世界遺産から社会問題まで多彩。
  • シンドゥール・ケラでは既婚女性同士が赤い粉を塗り合い、夫婦円満や長寿を願う。

開催日程

ドゥルガー・プージャは毎年秋、コルカタ(西ベンガル州)で開催されます。特にサプタミからダシャミの5日間は街全体がアート・音楽・儀式・人々の熱気で満ちあふれ、人生で一度は体験したいインド最大級の祝祭です。

続きを読む

実際の様子


開催情報

名称 コルカタのデゥルガー・プジャ
インド
エリア コルカタ
開催時期 2026/10/17 - 2026/10/22
リンク