ディワリ
光と歓喜があふれるインド最大の祭典
2026/11/07 - 2026/11/12
ディワリは、光の勝利と新しい始まりを祝う、インドのヒンドゥー教最大級の祭りです。
毎年秋、インド全土は「ディワリ(Diwali)」の光に包まれ、まるで夢のような世界に変わります。5日間にわたり、都市も村も無数のディヤ(オイルランプ)とキャンドルが輝き、花火が夜空を彩り、香ばしい線香やスイーツの香り、家族の笑い声があふれます。ムンバイの大都会も、バラナシの聖地も、小さな農村も、ディワリは誰もが参加できる“善が悪に勝つ光の祭典”。地元の人も旅行者も、家族や友人と一緒に祝うインド最大の祝祭です。
花とスイーツであふれる市場、カラフルなランゴリ(粉や花びらで作る伝統模様)が玄関を飾り、ディワリは五感すべてが喜ぶ祝祭。世界中から人々が集い、その温かさとエネルギーに心を奪われる、地球上で最も壮大で開かれた祭りのひとつです。
主な見どころ
5日間の儀式と祝宴
ディワリは5日間、それぞれに意味のある伝統が続きます。初日は「ダンテラス」で家を掃除し、金や新しい食器を買い繁栄を願います。2日目の「ナラカ・チャトゥルダシ(チョーティ・ディワリ)」は朝の沐浴と最初のランプ点灯。3日目がメインの「ラクシュミー・プージャ」で、家族は晴れ着をまとい、女神ラクシュミー(富の女神)を迎える儀式を行い、家中にディヤを灯します。4日目は「ゴーヴァルダン・プージャ/アンナクット」でクリシュナ神への感謝を込めて山のような料理を寺院に奉納。5日目の「バイ・ドゥージ」では兄弟姉妹の絆を祝う特別な祈りと贈り物が交わされます。
家々を彩る光とランゴリ、花火
どこを歩いても、家や寺院には無数のディヤやキャンドルが灯り、カラフルなランゴリが玄関を飾ります。夜になると、花火や爆竹の音と香り、線香やお香、音楽が街を満たします。多くの都市では大規模な花火大会が開かれ、川や湖には無数の灯籠が浮かびます。
衣装とデコレーション
ディワリは晴れ着で祝うのが伝統。女性は刺繍やビーズ、宝石で飾られた色鮮やかなサリーやレヘンガ、アナーカリスーツを、男性はクルタパジャマやシェルワーニなどを身にまといます。家々はマリーゴールドやマンゴーの葉、イルミネーションで飾られ、華やかで温かい雰囲気に包まれます。
伝統グルメ&ドリンク
ディワリの中心はやっぱり食!家庭ではグラブジャムンやジャレビ、バダムハルワ、ガジャルハルワ、ラドゥ、バルフィ、キールなどのスイーツが山のように作られ、サモサやオニオンバジ、マサラピーナッツ、パニールティッカ、ダールマカニなどのスナックも並びます。マサラチャイやバダムミルクなどスパイス香るドリンクもお祭り気分を盛り上げます。
文化・歴史的背景
ディワリの起源は非常に古く、紀元前のヴェーダ時代や古代インドのサンスクリット文献『パドマ・プラーナ』『スカンダ・プラーナ』などにも記述が見られます。もともとは秋の収穫を祝う農耕儀礼として始まり、家々を白く塗り、油ランプ(ディヤ)を灯して豊穣や繁栄、悪霊払いを願ったと伝えられています。やがてこの習慣は、ヒンドゥー教、ジャイナ教、シク教、仏教(新仏教徒)など多宗教に広がり、それぞれに独自の意味や伝説が加わりました。
ヒンドゥー教では、ディワリはラーマ王子が14年の流浪とラーヴァナ王討伐からアヨーディヤへ凱旋した日とされ、民衆がランプを灯してラーマとシータの帰還を祝ったという『ラーマーヤナ』の物語が最も有名です。また、女神ラクシュミー(富と幸運の女神)を迎え入れる日としても重要視され、家々を清めて灯りをともすのはラクシュミーの加護を願う意味もあります。
ジャイナ教では、ディワリはマハーヴィーラ(ヴァルダマーナ)が解脱(ニルヴァーナ)を得た日とされ、シク教では第6代グル・ハルゴビンドがムガル帝国の幽閉から解放された「バンディ・チョール・ディヴァス」として祝われます。仏教の一部(新仏教徒)でも、アショーカ王やアンベードカル博士にちなみ、社会的平等や解放の象徴として祝われることがあります。
ディワリは、家族や先祖との絆を深め、新たな一年の幸運や繁栄、健康を祈る時間でもあります。ディヤ(オイルランプ)を灯す行為は、光が闇に、知恵が無知に、希望が絶望に勝るという普遍的なメッセージを象徴し、インドのみならず世界中の人々に共感される祝祭となっています。
参加者の声
初めて外国人としてディワリに参加しました。友人の家族に招かれて玄関をくぐると、マリーゴールドの花輪やランゴリが鮮やかに飾られ、家中に甘いスパイスと線香の香りが漂っていました。キッチンではお母さんがラドゥの生地を丸める手つきを丁寧に教えてくれ、一緒に手を粉だらけにしながら家族の輪に溶け込んでいくのを感じました。夜になると、みんなでサリーやクルタに着替え、屋上に上がって花火が夜空に咲くのを見上げました。笑い声や“ハッピーディワリ!”の挨拶が響く中、気がつけば自分もこの温かく大きな家族の一員になったような、かけがえのない幸福感に包まれていました。
豆知識
- ディワリはインド国内外で10億人以上が祝う、世界最大級の祝祭。
- インド全土で1億個以上のディヤ(オイルランプ)が灯される。
- ディワリはゴールドや衣服、スイーツの特需でインド最大のショッピングシーズンでもある。
開催日程
ディワリはインド全土と世界中のインド系コミュニティで祝われ、新月の夜(カルティカ月)を中心に開催されます。最高の体験をするなら、祭りの時期に現地で灯りや祈り、家族のプージャ、そして色と味と温かさに満ちたインドの“光の祭典”を体感してください。
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