ケルンのカーニバル

街全体がステージになる歓喜の祭典


2026/02/11 - 2026/02/17

毎年冬、ケルンの街は100万人以上の人々が集い、色と音楽と笑いに包まれる伝説のカーニバル(Kölner Karneval)で大変身します。灰の水曜日までの6日間、地元の人も観光客も思い思いの仮装で「ケルン・アラーフ!」と叫び、ヨーロッパ最大級のストリートパーティーを楽しみます。初めての人も、地元の「イェック」(カーニバル好き)も、その熱気に巻き込まれずにはいられません。ここは誰もが心から自由に、純粋な喜びを体感できるライン河畔の祭典です。
木曜の開幕からローズマンデーの大パレードまで、ケルン・カーニバルは自由・創造・コミュニティスピリットの象徴。普段のルールがひととき忘れられ、誰もが主役になれる祭りです。

主な見どころ

ヴァイバー・ファストナハト(女性のカーニバル解放日)&ストリートカーニバル

祭りは木曜11時11分、ケルンの「クレイジーな女性たち」に街の鍵が渡される瞬間から始まります。オフィスは早々に閉まり、男性のネクタイは次々と切られ、旧市街は音楽と踊りと紙吹雪で大騒ぎ。ここから街中がノンストップのパーティー状態に突入し、広場や通りではオープンエアコンサートや即興のダンス、ポップアップバーが出現します。ネクタイをしていると切られるのは有名な伝統です。

ローズマンデー・パレード(Rosenmontagszug)

最大の見どころは月曜の「ローズマンデー・パレード」。1万2千人以上の仮装参加者と70台以上の山車が8kmのルートを練り歩き、100万人以上の観衆が「カメレ!(お菓子!)」「シュトリューシャ!(花束!)」と叫びながら、山車から降り注ぐお菓子や花をキャッチします。パレードは政治風刺の山車や、祭りの象徴「三役(王子・百姓・乙女)」の先導で有名。空気はお菓子の甘い香りとブラスバンド、ドラムライン、「ケルン・アラーフ!(ケルン万歳!)」の大合唱に包まれます。

仮装・デコレーション・ナイトライフ

ケルン・カーニバルでは仮装が絶対条件。シンプルな赤鼻から、何ヶ月もかけて作られたグループ仮装まで、創造性が問われます。ピエロや海賊、巨大なバナナやフラミンゴの群れまで、何でもありのカラフルな世界。バーやパブはカーニバルソングを歌う人々で満員、街中は赤と白(ケルンの色)で彩られます。夜になるとコンサートや舞踏会、風刺コメディ「シュトゥンクジッツング」など、眠らない夜が続きます。

伝統料理とドリンク

祭りを支えるのはケルン名物のストリートフード。カリーヴルストやケールとスモークソーセージ、「ハルベ・ハーン」(ライ麦パンにチーズ)などが定番。パレードでは推定300トンのお菓子と70万本のチョコバーが投げられます。ケルシュビールは細長いグラスで提供され、シュナップスも欠かせません。どれも片手で食べられるものばかりで、踊りや歌を楽しみながらエネルギー補給できます。

文化的・歴史的背景

ケルン・カーニバルの起源は中世にまでさかのぼります。当時、寒く厳しい冬を追い払い、四旬節(イースター前の断食期間)に入る前に思い切り飲み食いし、歌い踊って楽しむことで、春の訪れと新たな命を祝福する意味が込められていました。カトリック文化圏ならではの「節制の前の解放」として、仮面や仮装で身分や立場を超えて人々が一体となる伝統が根付きました。1823年には「祭り委員会(Festordnende Komitee)」が設立され、現代的なカーニバルの基礎が築かれ、同年には最初のローズマンデー・パレードも開催されました。以降、カーニバルはケルン市民の誇りとアイデンティティの象徴となり、激動の歴史の中でも市民の結束と自由の精神を守り続けてきました。

この祭りの最大の特徴は、自由・風刺・コミュニティの精神が色濃く表れる点です。三役(王子・百姓・乙女)が祭りを取り仕切り、政治や社会を風刺する山車がパレードを彩り、ケルン独特の方言やユーモアがあちこちで飛び交います。カーニバルシーズンは毎年11月11日11時11分に公式にスタートしますが、真のクライマックスは2月の「クレイジーデイズ」。この期間は街全体が仮装と音楽、笑いに包まれ、老若男女・地元民も観光客も分け隔てなく一つのコミュニティとなります。ビュッツェ(ほっぺのキス)や、火曜夜に「ヌッベル」人形を燃やして祭りの“罪”を浄化する儀式など、すべての伝統がケルンらしい寛容さと包容力、そして「人生は楽しむもの」という前向きな精神を映し出しています。ケルン・カーニバルは単なる仮装パーティーではなく、自由と多様性、そして市民の連帯を祝う“生きた文化遺産”なのです。

参加者の声

11月11日の午前11時11分、カーニバル公式開幕の日にケルン中央駅に到着した瞬間から、街の空気がいつもと違うことを肌で感じました。駅のホームにはすでにピエロや魔女、スーパーヒーロー、動物の着ぐるみなど、思い思いの仮装をした大人も子どももあふれていて、改札を出ると「ケルン・アラーフ!」の掛け声と紙吹雪が舞い、まるで別世界に迷い込んだようでした。

旧市街の広場では、朝から屋外ステージで生バンドがカーニバルソングを演奏し、みんなが肩を組んで踊り出します。道端の屋台からは焼きソーセージやカリーヴルストの香りが漂い、細長いグラスのケルシュビールを片手に、知らない人同士でも自然に乾杯。昼過ぎには大聖堂前の広場も人で埋め尽くされ、子どもたちはお菓子をもらい、大人たちは陽気に歌い、街全体が巨大なパーティー会場に変わっていました。

夕方になると、イルミネーションが灯り、パブやバーは仮装した人々で満員。どこからともなく「カメレ!」(お菓子!)の声や、誰かが始めたカーニバルソングの大合唱が響き渡ります。人混みの中でも不思議と安心感があり、警備員やスタッフも笑顔で案内してくれ、初めての私でも心から楽しめる雰囲気でした。ケルンのカーニバルは、ただの仮装パーティーではなく、街全体が一つになる“生きた祝祭”だと実感しました。

開催日程

ケルン・カーニバルは毎年11月11日11時11分に公式スタートしますが、本番の「クレイジーデイズ」は灰の水曜日直前の木曜から火曜まで。メインイベントは市内中心部で開催されるローズマンデー・パレードです。

開催日程は変更になる場合があります。最新の情報は公式サイトなどをご確認ください。

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実際の様子

Tokyo

photo by Rafal Jalocha

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photo by mcgretch

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photo by Rafal Jalocha

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photo by Rafal Jalocha


開催情報

名称 ケルンのカーニバル
ドイツ
エリア ケルン
開催時期 2026/02/11 - 2026/02/17
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