ルトヴェリ
手と心とワインがつなぐ、ジョージアのぶどう収穫祭
2026/09/19 - 2026/10/09
毎年秋、ジョージア(グルジア)のぶどう畑が黄金や深紅に染まる頃、家族や友人たちが集い「ルトヴェリ」と呼ばれる伝統の収穫祭が始まります。カヘティやイメレティなど各地の村では、ぶどうを摘む人々の笑い声や民謡が響き、素足でぶどうを踏みしめる感触や発酵するワインの香り、そして心温まるごちそうが世代を超えて人々をつなげます。
ルトヴェリは9月下旬から10月上旬にかけて、ぶどうが最も甘く熟す時期に行われます。地元の人も旅行者も大歓迎。ジョージア流のおもてなしと農村のリズム、世界最古のワイン文化を体感したい人には絶好の機会です。家族の畑での収穫や村全体の大きな祭り、どちらに参加しても五感に残る特別な体験が待っています。
主な見どころ
ぶどうの手摘み体験
ルトヴェリの中心は、みんなで協力してぶどうを摘むこと。朝の涼しい空気の中、たわわに実ったぶどうの房をハサミで切り、柳のかごに集めていきます。指先に残る甘い果汁や、葉がこすれる音、笑い声や民謡が畑いっぱいに広がります。
伝統的なぶどう踏みとワイン造り
収穫後はみんなで大きな木桶にぶどうを入れ、素足で踏みしめます。果汁がはじけ、子どもたちの歓声とともに紫色のしぶきが飛び散ります。潰したぶどうや発酵し始めたワインの香りがあたりに漂い、搾りたての果汁は「クヴェヴリ」と呼ばれる素焼きの壺に注がれ、8,000年続く伝統製法で地下に埋めて発酵させます。
主なイベント
ルトヴェリの宴では、焼きたてのハチャプリ(チーズパン)や串焼き肉ムツヴァディ、くるみ入りぶどうキャンディ「チュルチヘラ」などごちそうが並びます。多声合唱やフォークダンスが自然発生的に始まり、タマダ(宴会の親方)が祖先や収穫、未来に向けて心のこもった乾杯をリードします。地域によってはパレードやぶどう投げ大会も行われます。
衣装と装飾
女性はカラフルな民族衣装やスカーフ、男性は装飾が施されたチョハ(ウールの伝統コート)を着ることも。家やテーブルはぶどうのつるやひまわり、果物を盛ったかごで飾られ、刺繍布や銀のアクセサリー、新鮮な果物の色彩が祭りを彩ります。
伝統グルメ&ドリンク
テーブルにはヒンカリ(肉入り餃子)、ロビオ(豆の煮込み)、自家製チーズやピクルスなどジョージアの味覚がずらり。主役はもちろんワインで、搾りたてのフレッシュなものから発酵途中の濁りワインまで楽しめます。チュルチヘラが軒先に吊るされ、パンの焼ける香りとぶどうの発酵香が食卓を包みます。
文化・歴史的背景
ルトヴェリの歴史は、ジョージアが「ワイン発祥の地」と呼ばれるほど古く、約8,000年前の新石器時代にまでさかのぼります。考古学的調査によれば、ジョージアのクヴェヴリ(素焼きの壺)を使ったワイン造りの痕跡が紀元前6千年頃の遺跡から発見されています。この長い歴史の中で、ぶどうの栽培とワイン造りは単なる農業や飲み物の域を超え、家族や村、民族のアイデンティティそのものとなりました。
「ルトヴェリ(収穫)」は、1年をかけて大切に育てたぶどうの恵みに感謝し、家族や親族、隣人、友人が集まって収穫の喜びを分かち合う行事です。収穫の作業は朝早くから始まり、ぶどう摘み、踏み、クヴェヴリへの仕込み、そして祝宴まで、すべてが世代を超えた共同作業として受け継がれてきました。祝宴では、タマダ(宴会の親方)が乾杯をリードし、祖先や土地、家族への感謝、未来への願いが歌や物語とともに語られます。
ソビエト時代には集団農場化や大量生産の影響で伝統的な家族単位のルトヴェリが一時衰退しましたが、独立後は再び家族や地域コミュニティの絆を深める大切な行事として復活。現在では、ジョージア人のアイデンティティやおもてなしの精神、土地への感謝を体現する「生きた文化遺産」として、国内外の多くの人々を惹きつけています。
参加者の声
トビリシからカヘティのルトヴェリに参加したら、まるで家族のように迎え入れてくれました。地元の人と一緒にぶどうを摘み、民謡を歌い、クヴェヴリから搾りたてのワインを味わう…ジョージアで一番心に残る体験でした。
豆知識
- ジョージアは「ワイン発祥の地」とされ、8,000年以上前からワイン造りが行われてきた考古学的証拠がある。
- 伝統的なワイン造りでは「クヴェヴリ」という素焼きの壺を地下に埋めて発酵させる。
- ジョージアには500種類以上の土着ぶどう品種があり、ルトヴェリでさまざまなぶどうが収穫される。
開催日程
ルトヴェリは毎年9月下旬から10月中旬にかけて、主にカヘティやイメレティなどジョージア各地のワイン産地で開催されます。
開催日程は変更になる場合があります。最新の情報は公式サイトなどをご確認ください。
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