聖ブラホ祭
ドゥブロヴニクの信仰・自由・絆をつなぐ伝統行列
2026/02/01 - 2026/02/08
毎年2月、クロアチア・ドゥブロヴニクの旧市街は「聖ヴラホ祭(聖ブレイズ祭)」の荘厳な雰囲気に包まれます。1000年以上続くこのユネスコ無形文化遺産の祭りは、地元の人々と巡礼者が一体となり、守護聖人ヴラホへの感謝と祈りを捧げる一週間。大理石の街路に鐘の音と旗のはためき、月桂樹や香の香りが満ち、ドゥブロヴニクの“魂”が生き生きと息づく瞬間です。
民族衣装に身を包んだ人々の行列、オレンジピールの砂糖漬けの甘さ、石畳の冷たさ、ルネサンスの建物に響く聖歌隊の歌声…聖ヴラホの精神は子どもたちの笑顔、荘厳なパレード、そして嵐を乗り越えてきた街の誇りに宿ります。
主な見どころ
大行列(プロセッション)
ハイライトは2月3日の聖ヴラホの日の大行列。何百人もの旗手、聖職者、市の役人、民族衣装の市民が聖人の聖遺物や歴史ある旗を掲げて旧市街を練り歩きます。鐘の音や聖歌、太鼓のリズムが響き渡り、各門や教会で祝福が行われる伝統は何世代も受け継がれてきました。
白い鳩の放鳥と聖人旗の掲揚
祭りは聖ヴラホ教会前での白い鳩の放鳥から始まります。平和と自由の象徴である鳩が空へ放たれ、オルランドの柱に聖人旗が掲げられる瞬間は、広場に集まった人々の誇りと一体感が最高潮に。音楽や歓声、月桂樹の枝が祝祭ムードを盛り上げます。
衣装と装飾
参加者は金糸刺繍の民族衣装や赤いサッシュ、ベルベットのマントをまとい、聖職者や祭壇少年は白と金の祭服姿。街中は月桂樹のリースや旗、バナーで飾られ、教会にはキャンドルや花、銀の聖遺物箱が並びます。ブロケードや石畳、はためく旗の手触りも印象的です。
伝統グルメ&フード
地元の家庭やレストランでは、オレンジやレモンの砂糖漬け(アランチーニ、リムンチーニ)、ロジャータ(カラメルプリン)、アーモンドケーキ、干しイチジクなどが振る舞われます。柑橘や蜂蜜、ナッツの香りが漂い、パレード後は魚のシチューや焼きたてパン、地元ワインやラキヤ(果実ブランデー)で祝宴が開かれます。
文化・歴史的背景
聖ヴラホ祭の起源は972年、伝説によれば、ドゥブロヴニク市民がヴェネツィア艦隊の奇襲をヴラホ聖人(聖ブレイズ)の加護によって奇跡的に免れたことに由来します。それ以来、聖ヴラホは街の守護聖人として深く敬われるようになり、この祭りはドゥブロヴニクの独立・誇り・信仰心の象徴となりました。オスマン帝国やヴェネツィア、そして後のユーゴスラビア時代にも、この伝統は大切に守られ、地域アイデンティティやレジリエンス(困難に耐える力)の強い証しとなってきました。
現代の聖ヴラホ祭は、ドゥブロヴニクの不屈の精神を体現する“生きた証”です。毎年、数千人の地元民や巡礼者、観光客が聖人を讃え、家族や友人と再会し、健康や平和を祈ります。この祭りは宗教的な意味合いだけでなく、街が世界に門戸を開き、おもてなしと誇りを表現する場でもあります。2009年にはユネスコ無形文化遺産に登録され、ヨーロッパ最古級かつ最も意義深い都市の伝統行事のひとつとして、その価値が世界的に認められています。
参加者の声
観光客として参加しましたが、地域の一体感に感動。パレード後に地元の家族に招かれてアランチーニやワインをいただき、旅で一番温かい思い出になりました。
豆知識
- 祭りは972年から一度も絶えることなく続く、ヨーロッパ最古級の伝統行事。
- 聖ヴラホ像はドゥブロヴニクの城壁を手に持ち、守護を象徴している。
- 白い鳩は地元の子どもたちが育て、平和の象徴として放たれる。
- 聖ヴラホは喉の病の守護聖人であり、祭り期間中は特別な「喉の祝福」も行われる。
開催日程
聖ヴラホ祭は毎年2月、クロアチア・ドゥブロヴニクで開催。2月3日の大行列をはじめ、伝統菓子や祝福の儀式、街の“生きた歴史”をぜひ体感してください。
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