レシフェ・オリンダのカーニバル

巨人人形とフレーヴォが彩る生きた万華鏡


2026/02/12 - 2026/02/17

毎年2月、ブラジル北東部の隣り合う街レシフェとオリンダは、音楽とダンス、色彩があふれる壮大なカーニバルで沸き立ちます。他のどのカーニバルとも違い、ここでは巨大な人形(ボネコス・ジガンチス)が人々の頭上を行進し、フレーヴォのダンサーたちが目もくらむような速さで踊り、地元の人も旅行者も歓喜の渦に巻き込まれていきます。屋台料理の香り、石畳の感触、打楽器やブラスバンドのリズムが街を包み、五感すべてで参加したくなるお祭りです。

祭りは1週間近く続き、最大の盛り上がりは灰の水曜日直前の数日間。レシフェの「ガロ・ダ・マドゥルガーダ」パレードには200万人以上が参加し、オリンダの急な坂道は即興のパーティーや伝統的なマラカトゥ、無数のブロッコ(ストリートバンド)の舞台となります。本場のカーニバルを体験したい人には絶対に外せないイベントです。

主な見どころ

ガロ・ダ・マドゥルガーダ

世界最大のカーニバルパレード「ガロ・ダ・マドゥルガーダ(夜明けの雄鶏)」は、土曜の朝にレシフェ中心部でスタート。巨大な雄鶏の山車を先頭に、200万人を超える人々が打楽器隊やブラスバンド、ダンサーとともに街を練り歩きます。フレーヴォのカラフルな傘がくるくる回り、紙吹雪が舞い、みんなでカーニバルソングを歌いながら踊るエネルギーは圧巻です。

オリンダの巨人人形(ボネコス・ジガンチス)

オリンダのカーニバルといえば、4メートルを超える巨大な張り子人形「ボネコス・ジガンチス」。有名人や民間伝承のキャラクター、地元の人気者をかたどった人形たちが、急な坂道をパレードし、子どもも大人も大興奮。揺れる腕や鮮やかな衣装が間近を通り抜ける迫力と、見上げる非日常感は忘れられません。

フレーヴォとマラカトゥ

フレーヴォはペルナンブーコ州独特の超高速ダンス&音楽。カラフルな衣装と小さな傘を手にしたダンサーがブラスバンドのリズムに合わせて跳ね回ります。マラカトゥはアフロ系伝統の打楽器と歌、アフリカ王朝を思わせる豪華な衣装が特徴。どちらもこの土地のアイデンティティそのもので、昼夜問わず街を盛り上げます。

主なイベント

オリンダの教会で行われる「ノイチ・ドス・タンボーレス・シレンシオーゾス(静かな太鼓の夜)」は、奴隷時代のアフリカ系先祖を追悼する感動的な儀式。レシフェとオリンダの街角には500以上のブロッコが現れ、子どもパレードや仮装コンテスト、即興サンバの輪もあちこちに。笑い声と音楽、グラスの音が夜の湿った空気に響きます。

衣装と装飾

カラフルなカツラやマント、フレーヴォ衣装(フリル付きスカート&傘)など、参加者の仮装はとにかく多彩。通りにはストリーマーや旗、バナーが張り巡らされ、オリンダのコロニアルな家々もランタンや壁画で彩られます。スパンコールや羽根、フェイスペイントの質感、花や汗の匂いも祭りの一部です。

伝統グルメ&ドリンク

屋台ではタピオカクレープ、グアバ入りロールケーキ(ボロ・ジ・ローロ)、豆スープ(カルジーニョ・ジ・フェイジョン)、焼きチーズ串などご当地グルメが並びます。冷たいビールやカイピリーニャ、サトウキビジュースも人気。炭火やトロピカルフルーツ、スパイシーなソースの香りが食欲をそそります。

文化・歴史的背景

レシフェ&オリンダのカーニバルの歴史は、16世紀のポルトガル植民地時代に始まります。当時、ポルトガル人は「エントゥルード」と呼ばれる四旬節前の祝祭をブラジルにもたらしました。エントゥルードは水や香水、小麦粉を掛け合う無礼講の祭りで、街中が混沌とした祝祭空間に変わるものでした。やがて、アフリカから連れてこられた奴隷たちが持ち込んだ音楽や舞踊、宗教儀式、そして先住民の伝統が融合し、ペルナンブーコ州独自のカーニバル文化が形成されていきます。

19世紀末から20世紀初頭にかけて、カーニバルはより組織化され、パレードや仮装、音楽隊が街を練り歩くスタイルが定着しました。この頃、オリンダでは高さ4メートルを超える張り子の巨人人形「ボネコス・ジガンチス」が登場し、レシフェでは1978年に「ガロ・ダ・マドゥルガーダ(夜明けの雄鶏)」パレードが始まりました。これらは今やカーニバルの象徴的存在となっています。

また、フレーヴォ(ブラスバンドと超高速ダンス)やマラカトゥ(アフロ系打楽器と歌、王朝風衣装)は、アフリカ系・先住民・ヨーロッパ文化が融合して生まれたペルナンブーコならではの伝統芸能です。フレーヴォは2012年にユネスコ無形文化遺産に登録され、マラカトゥも地域の誇りとして受け継がれています。

現代のレシフェ&オリンダのカーニバルは、数百万人が参加するブラジル屈指の文化イベントであり、音楽やダンス、儀式を通じて多様なルーツと歴史を祝福する場です。地元の人々にとっては、アイデンティティや誇り、そして自由と連帯の象徴であり、世代や国籍を超えて人々をつなぐ特別な時間となっています。

参加者の声

毎年ガロ・ダ・マドゥルガーダを心待ちにしています。友人も知らない人も一緒に何時間も踊り、紙吹雪の中で一つになる感覚は言葉にできません。街全体が家族のように感じる日です。音楽も衣装も色彩も、五感が全部目覚める体験。衣装を着て太鼓を叩きながら行進すると、古代の力とつながる感覚があります。

豆知識

  • ガロ・ダ・マドゥルガーダは世界最大のカーニバルパレードとしてギネス記録を持ち、参加者は250万人超。
  • オリンダの巨人人形は高さ4メートル、重さ20kgを超えるものも。

開催日程

レシフェ&オリンダのカーニバルは毎年2月または3月に開催。

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実際の様子

Tokyo

photo by Henrique Santos

Tokyo

photo by Jr Manolo

Tokyo

photo by Marcelo Soares


開催情報

名称 レシフェ・オリンダのカーニバル
ブラジル
エリア レシフェとオリンダ
開催時期 2026/02/12 - 2026/02/17
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