フェスタ・ジュニーナ

火と味とフォークロアが彩るブラジルの冬のカーニバル


2026/05/31 - 2026/06/29

毎年6月、ブラジル各地の町や都市は色と音楽、素朴な喜びに包まれ、「フェスタ・ジュニーナ」が盛大に開催されます。1か月間、教会広場や学校の校庭、市民広場がランタンや旗、麦わら帽子で飾られ、何百万人もの人々がクアドリーリャ(フォークダンス)を踊り、トウモロコシのお菓子を味わい、星空の下で焚き火を囲みます。都会でも田舎の温もりを感じられるこのお祭りは、地元の人も旅行者も、誰もが笑顔で参加できるブラジルらしい体験です。

フェスタ・ジュニーナは全国で行われますが、とくに北東部のカンピナ・グランデやカルアルーの規模は圧倒的。「世界一のサンジョアン」とも呼ばれ、家族連れ、グルメ好き、音楽ファン、そして伝統を愛する人たちで賑わいます。笑い声や焚き火のはぜる音が響く、心温まるコミュニティのお祭りです。

主な見どころ

クアドリーリャと模擬結婚式

フェスタ・ジュニーナの目玉はクアドリーリャと呼ばれるフォークダンス。ヨーロッパの田舎踊りがルーツで、男女ペアが花嫁・花婿に扮し、コミカルな寸劇や追いかけっこ、「アナリエ!」「オーリャ・ア・シューバ!」という掛け声とともに踊ります。アコーディオンや三角鉄琴、ザブンバの音色が広場に響き、チェック柄のシャツやパッチワークのドレス、麦わら帽子姿のダンサーたちの笑い声が夜空にこだまします。

焚き火と花火

各地で焚き火が焚かれ、薪の香りと温もりが夜を包みます。子どもも大人も焚き火を囲んでトウモロコシを焼き、色とりどりの花火を打ち上げたり、火を飛び越えて無病息災を願ったり。パチパチと燃える音や煙、火薬の匂いが、田舎の魔法のような雰囲気を演出します。

主なイベント

大都市ではフォホーの生演奏やアコーディオン対決、ダンス大会が開催され、仮装コンテストやパウ・ジ・セーボ(油を塗った棒登り)、麻袋レース、ビンゴなど伝統ゲームも盛り上がります。子どもたちのクアドリーリャ発表や、屋台でのご当地グルメも楽しみのひとつ。クライマックスは6月23日の「サンジョアンの夜」。最大級の焚き火とパーティーが各地で繰り広げられます。

衣装と装飾

参加者は「カイピーラ」(田舎者)スタイルで、男性はパッチワークのズボンやチェックシャツ、そばかすメイク、女性はフリル付きのカラフルなワンピースや三つ編み、麦わら帽子が定番。会場は紙ランタンやカラフルな旗(バンデイリーニャ)、仮設の納屋風装飾で彩られます。麦わらやスカートのカサカサした感触、焚き火のぬくもりが都会に田舎の空気を運びます。

伝統グルメ&ドリンク

フェスタ・ジュニーナは食の祭典でもあります。焼きトウモロコシ、カンジーカ(トウモロコシのミルク煮)、パモーニャ(とうもろこしの蒸し団子)、ペ・ジ・モレキ(ピーナッツのヌガー)、ケンタォン(スパイス入りホットカシャッサやホットワイン)などが並びます。ボロ・ジ・ミーリョ(とうもろこしケーキ)、コカーダ(ココナッツ菓子)、熱々のホットワインも人気。甘くて香ばしく、クリーミーでカリカリ、田舎の味が詰まっています。

文化・歴史的背景

フェスタ・ジュニーナの起源は16世紀のポルトガルにあります。当時、ヨーロッパ各地では夏至(6月)の豊作と自然への感謝を祝う祭りが行われており、ポルトガル人入植者がこの風習をブラジルにもたらしました。ブラジルに伝わった後、フェスタ・ジュニーナは現地の先住民やアフリカ系住民の文化と融合し、独自の発展を遂げます。特に北東部では乾季の収穫期と重なり、農民たちが聖ジョアン(サン・ジョアン)、聖ペドロ、聖アントニオといった守護聖人に感謝を捧げる宗教的な意味合いが強まりました。

祭りの象徴である焚き火は、もともと悪霊を追い払うと同時に、収穫の恵みと家族の健康を祈るためのものでした。また、クアドリーリャ(フォークダンス)や模擬結婚式、伝統料理も、ヨーロッパ、アフリカ、先住民の要素が混ざり合って生まれたものです。こうしてフェスタ・ジュニーナは、農村の生活や信仰、地域の連帯感を表現するブラジル独自の祭りへと成長しました。

現代では都市部でも盛大に開催され、世代や階層、地域を超えて家族やコミュニティの絆を深める大切な伝統行事となっています。特に北東部では地域アイデンティティと誇りの象徴であり、毎年数百万人が参加する国民的イベントです。

参加者の声

観光でサルヴァドールのフェスタ・ジュニーナに参加しました。クアドリーリャに飛び入りしたら、みんなが応援してくれて…初めて飲んだケンタォンは甘くてスパイシーで忘れられません!

豆知識

  • カンピナ・グランデとカルアルーは「世界一のサンジョアン」を競い合い、毎年200万人以上が訪れる。
  • カンジーカやパモーニャなど伝統料理の主役はトウモロコシ。収穫の恵みを祝う象徴。
  • フェスタ・ジュニーナは「ブラジルの冬のカーニバル」とも呼ばれる。

開催日程

フェスタ・ジュニーナは全国で6月いっぱい開催されますが、最大規模は北東部。

続きを読む

実際の様子


開催情報

名称 フェスタ・ジュニーナ
ブラジル
エリア 全土, 全土
開催時期 2026/05/31 - 2026/06/29
リンク