エスカラード

勇気とチョコレートと連帯の冬を祝うジュネーブ最大の歴史祭


2026/12/10 - 2026/12/12

毎年12月、ジュネーブ旧市街は「エスカラード」の祝祭ムードに包まれます。1602年のサヴォワ公軍による奇襲を市民が撃退した歴史を再現するこの祭りは、3日間にわたり太鼓やたいまつの行進、800人以上の17世紀衣装パレード、チョコレート鍋割りなどが繰り広げられます。歴史好きもチョコ好きも、魔法のような冬の体験を求める人にもぴったりの祭典です。

ホットワインや焚き火の香り、ランタンを手にした子どもたちの行列、剣や火縄銃の音、広場で割られるチョコレートの大鍋…。エスカラードはジュネーブで最も愛される伝統行事であり、歴史・グルメ・コミュニティの誇りがひとつになる冬の祝祭です。

主な見どころ

歴史パレードとコスチューム再現劇

エスカラードの中心は、たいまつを手にした800人以上の17世紀衣装パレード。兵士や町人、楽隊が旧市街を練り歩き、1602年の戦いを剣や火縄銃、教会の鐘の音でリアルに再現します。毎年何万人もの観客が見守る圧巻の歴史絵巻です。

子どもたちのランタン行列と合唱

金曜夜には子どもたちが手作りランタンを持って街を練り歩き、伝統歌「Cé qu’è lainô」を合唱。ランタンの柔らかな光と澄んだ歌声、冬の空気が世代を超えた一体感を生み出します。

チョコレート鍋割りと冬のグルメ

名物はマジパン野菜やお菓子が詰まった「チョコレート鍋(マルミット)」。家族や仲間で鍋を割り、中身を分け合うのが勝利と連帯の象徴です。屋台ではホットワインや野菜スープ、ジンジャーブレッドなど冬の味覚も楽しめます。

文化・歴史的背景

エスカラードの起源は、1602年12月11日から12日にかけて、サヴォワ公シャルル・エマニュエル1世の軍勢が夜陰に乗じてジュネーブを奇襲した「エスカラード事件」にあります。サヴォワ軍ははしご(エスカラード=よじ登るの意)を使って城壁を乗り越え、市内に侵入しようとしましたが、市民や傭兵、女性や子どもまでが一丸となって抵抗し、撃退に成功しました。

この戦いの中で特に有名なのが「マダム・ロワヨーム(カトリーヌ・シュネル)」の逸話です。彼女は自宅の窓から熱い野菜スープを大鍋ごと敵兵に浴びせかけ、侵入を防いだと伝えられています。このエピソードが、現在のチョコレート鍋(マルミット)を割って分け合う風習の由来となっています。

事件後、ジュネーブは独立と宗教的自由を守り抜いた都市として大きな誇りと連帯感を育みました。エスカラードは当初、教会での感謝祭や小規模な記念行事として始まりましたが、19世紀末から20世紀にかけて市民団体「Compagnie de 1602」が設立され、本格的な歴史パレードや再現劇、チョコレート鍋の風習など、現在のような大規模な市民参加型の祭りへと発展しました。

エスカラードはジュネーブの独立精神や多様性、市民社会の結束を象徴する大切な祭りとして、今も世代を超えて受け継がれています。子どもから大人までが参加し、地域の歴史や価値観を体感しながら祝う、ジュネーブ市民の誇りの象徴です。

参加者の声

パレードで衣装を着て歩くと、本当に時代をさかのぼった気分。音楽やたいまつの雰囲気が忘れられません。

豆知識

  • 最大のチョコレート鍋は10kg超、ジュネーブのパティシエが手作りで装飾。
  • 伝統歌「Cé qu’è lainô」はジュネーブ方言(フランコ・プロヴァンサル語)で歌われる。
  • 「Escalade」は「はしごをかけてよじ登る」の意で、敵軍の城壁強襲が語源。

開催日程

エスカラードは毎年12月、ジュネーブ旧市街各所で開催。パレードやチョコ鍋割り、歴史劇を体感し、ジュネーブの“伝説の夜”をぜひ味わってみてください。

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実際の様子

Tokyo

photo by Antonio Delgado

Tokyo

photo by Nuno Barreto


開催情報

名称 エスカラード
スイス
エリア ジュネーヴ
開催時期 2026/12/10 - 2026/12/12
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