ウジュガヴェネス(冬を追い出す祭り)
冬を追い払うリトアニアの陽気な仮面カーニバル
2026/02/16
2月から3月初め、雪が残るリトアニアの町や村で「ウジュガヴェネス(Užgavėnės)」が始まると、街角や広場は仮面と笑い声、焼きたてパンケーキの香りでいっぱいになります。四旬節前の最後の火曜日に行われるこの古い祭りは、悪魔や魔女、動物などに扮した人々が大騒ぎしながら冬を追い払い、春を呼び込むリトアニア流のカーニバル。地元の人も帰省者も旅行者も、仮面をつけて踊り、食べて、思いきり羽を伸ばせる日です。
開催はイースターの7週間前。ヴィリニュスやカウナス、全国の村々でパレードや焚き火、パンケーキの宴が繰り広げられます。家族連れも食いしん坊も、リトアニア文化の“陽気でユーモラスな心”に触れたい人なら誰でも楽しめます。
主な見どころ
仮面行列&モレー人形の火祭り
祭りの中心は仮装パレード。悪魔や魔女、山羊や熊、死神や風刺キャラなどが街を練り歩き、踊り、冗談を言いながらパンケーキをねだります。クライマックスは冬の象徴「モレー(Morė)」の藁人形を燃やす(または水に沈める)火祭り。焚き火を囲み「ジエマ、ジエマ、ベク・イシュ・キエモ!(冬よ冬よ、庭から出ていけ!)」と大合唱し、寒さと暗さを追い払います。
主なイベント
冬の太っちょ「ラシニーニス」と春の痩せ男「カナピーニス」のコミカルな戦い(寸劇)は定番で、必ず春が勝利します。フォーク音楽や輪になって踊るダンス、子ども向けゲーム、パンケーキ早食い大会も大人気。多くの村では学校や家庭でも宴が開かれ、四旬節前の“最後のごちそう”を家族みんなで楽しみます。
衣装と装飾
ウジュガヴェネスの仮面は手作りが主流。木や革、藁で作られた悪魔や動物、魔女、時には政治家や有名人を風刺したものまで個性豊か。家や広場は藁やペイントバナー、燃やされるモレー人形で飾られ、唯一無二のカーニバル空間が広がります。
伝統グルメ&ドリンク
主役はパンケーキ(ブリナイ)。蜂蜜やジャム、サワークリームを添えて何枚も食べるのが定番。他にもソーセージや豚肉、粥や肉の煮込みなど“脂っこい料理”がずらり。揚げ物や薪の香り、ホットドリンクの湯気が漂い、知らない人とも料理を分け合うのがこの祭りの醍醐味です。
文化・歴史的背景
ウジュガヴェネスは、冬の終わりと春の訪れを祝う古代の異教儀式に起源があります。やがてカトリックの「脂の火曜日(Shrove Tuesday)」と融合し、リトアニア版マルディグラやカーニバルとして定着しました。モレーの火祭りやラシニーニスとカナピーニスの戦いは、豊穣や再生への願いを象徴しています。ソ連時代には一時禁止されたこともありましたが、民間伝承として受け継がれ、今ではユーモアと団結の象徴的な祭りとして愛されています。
参加者の声
観光で偶然参加したら、知らない人から仮面とパンケーキをもらい、最後は魔女たちと踊ってモレーの火祭りを応援。こんなに温かく迎えられたのは初めてです。
豆知識
- ウジュガヴェネスの仮面は木や革、藁で手作りされ、家宝として大切にされることも。
- モレー人形の火祭りは、邪気や不運、冬の寒さを追い払うと信じられています。
- 「ジエマ、ジエマ、ベク・イシュ・キエモ!」は子どもも大人も叫ぶ定番フレーズ。
- パンケーキ早食い大会では、1日で何百枚も消費されることも。
開催日程
ウジュガヴェネスは毎年、灰の水曜日直前の火曜日にヴィリニュスやカウナス、全国各地で開催されます。
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