聖カジミエル祭

ヴィリニュスの街に春を告げる伝統市


2026/03/05 - 2026/03/07

毎年3月、ヴィリニュス旧市街の石畳の通りが色と音、焼きたてパンや薪の香りで満たされる「聖カジミエル祭(カジューカス市/Kaziukas Fair)」。3日間、リトアニア各地から集まった職人や屋台が街を巨大なオープンエアマーケットに変え、伝統・創造性・コミュニティの力があふれます。地元の人も、帰省したリトアニア人も、旅行者も、カジューカス市は五感と心を満たす春のごちそうです。

開催は毎年3月最初の週末。中心はヴィリニュス大聖堂広場やゲディミナス大通り。家族連れや友人同士、アーティスト、グルメ好きまで誰でも楽しめる、リトアニア文化の“心”に触れる絶好のチャンスです。

主な見どころ

手工芸マーケット

カジューカス市の中心は、1,000以上の職人が並ぶ大規模なマーケット。木彫りのスプーンや手織りの帯、陶器、アクセサリー、藁細工のオーナメントなどが並びます。職人の会話や陶器の音、蜜蝋キャンドルの香りが漂い、世界にひとつだけのお土産探しや職人技の実演見学も楽しみのひとつです。

主なイベント

オープニングパレードでは民族衣装の音楽隊やダンサーが街を練り歩き、屋外ステージではライブ演奏が響きます。子ども向けワークショップやパン焼きデモ、カラフルな「ヴェルバ(verba)」=パームブーケのコンテストも人気。大道芸や人形劇、コミュニティダンスもあり、朝から夜まで賑わいが絶えません。

衣装と装飾

出店者やパフォーマーは刺繍シャツやウールスカート、帯やフェルト帽など地域ごとの民族衣装をまといます。屋台は編みかごやドライフラワー、リボンで飾られ、手織り布の手触りや風に揺れるヴェルバ、夕暮れのランタンの灯りがノスタルジックな雰囲気を演出します。

伝統グルメ&ドリンク

グルメ好きにはたまらない市。燻製ソーセージや焼きたてライ麦パン、はちみつケーキ、粉砂糖をまぶした甘いペストリーが並びます。ローストナッツやホットワイン、ピクルスの酸味の香りも漂い、串焼きケーキ「シャコティス」やホットクヴァス(発酵ライ麦ドリンク)、新鮮なチーズも大人気。地元の人と肩を並べて木のテーブルで味わうのが醍醐味です。

文化・歴史的背景

聖カジミエル祭の歴史は17世紀初頭にさかのぼります。当時、リトアニア大公国の首都ヴィリニュスでは、守護聖人カジミエル(カジミエラス)を讃えるため、3月4日の祝日に合わせて宗教行列や巡礼市が始まりました。カジミエルは1458年に生まれ、信仰と慈善に生涯を捧げ、若くして亡くなった王子で、17世紀には聖人として列聖されました。ヴィリニュス大聖堂にはバロック様式の聖カジミエル礼拝堂が建てられ、リトアニアの精神的な象徴となっています。

当時のリトアニアはポーランド・リトアニア共和国としてヨーロッパ最大級の領土を誇り、宗教的寛容や多民族共生の地でした。聖カジミエル祭は都市と農村、貴族と市民、職人や商人が一堂に集い、春の訪れや豊穣、共同体の絆を祝う重要な行事となりました。戦争や占領、社会の変動を経ても祭りは途絶えることなく続き、バルト最大の民芸市へと発展。リトアニア人にとっては、たくましさと再生、伝統とコミュニティの力を象徴する春の風物詩であり、過去と未来をつなぐ“生きた文化遺産”です。

参加者の声

ヴィリニュス観光中に偶然出会い、シャコティス作りを体験したり、見知らぬ人とストリートダンスを踊ったり…こんなに温かく迎えられた街は初めてでした。

豆知識

  • カジューカス市には毎年50万人以上が訪れ、バルト三国最大級のイベントとなっています。
  • カラフルな「ヴェルバ(パームブーケ)」はリトアニア独自の伝統で、聖枝祭の日に教会で祝福されます。
  • 祭りの名前の由来である聖カジミエルは、カトリック教会で列聖された唯一のリトアニア人聖人です。
  • 市で売られる木製スプーンは結婚祝いや新築祝いのラッキーアイテムとされています。

開催日程

聖カジミエル祭は毎年3月最初の週末、ヴィリニュスで開催されます。

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実際の様子

Tokyo

photo by Vilnius Tourism

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photo by Yvonne

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開催情報

名称 聖カジミエル祭
リトアニア
エリア ビリニュス,
開催時期 2026/03/05 - 2026/03/07
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