聖ヨハネ祭(ラソス)
露と炎と歌が織りなすリトアニアの魔法の夏至夜
2025/06/22 - 2025/06/23
6月24日、リトアニアは「聖ヨハネ祭(ラソス、ジョニネス、夏至祭)」の夜、焚き火と野の花、古代から続く儀式で満たされます。一年で最も短い夜、ヴィリニュスの川辺やケルナヴェの草原では、地元の人も旅人も花冠を編み、火を飛び越え、朝露に素足を濡らしながら夏の頂点を祝います。異教とキリスト教の伝統が溶け合うこの祭りは、ほとんど闇にならない空の下、リトアニアの夏の“心”を体感できる魔法の一夜です。
祭りはリトアニア各地で行われますが、特にケルナヴェ、ヨナヴァ、ヴィリニュスで大規模なイベントが開催されます。家族や友人、恋人、旅行者など、誰でも参加できる開かれた祝祭です。
主な見どころ
焚き火と夜通しのダンス
ラソスの中心は、丘や川岸で焚かれる大きな焚き火。太陽の力を讃えるこの炎を囲み、老若男女が輪になって踊り、フォークソングを歌い、火を飛び越えます(健康や幸運を願う伝統)。松明やランタンの灯りが水面に揺れ、音楽と笑い声が夜明けまで響きます。
主なイベント
花で飾られた門をくぐる儀式や、祭壇の火の点火、花冠(ヴェインクルス)を川に流す占い(恋愛成就や未来を占う風習)、そして若者たちが森で「シダの花」を探す冒険も有名。夜明けには朝露で足を濡らすと美しく健康になると言われています。
衣装と装飾
参加者はリネンのドレスや織帯、野花やハーブで編んだ花冠を身につけます。会場は白樺の枝やリボン、「クポレ」と呼ばれる花で飾られた生命の木のポールで彩られます。朝露に濡れた草の感触、ハーブの香り、花冠のやわらかさ…五感で楽しめる幻想的な雰囲気です。
伝統グルメ&ドリンク
ライ麦パンやチーズ、はちみつ、ローストミート、ミード(蜂蜜酒)など、夏の恵みが食卓に並びます。野いちごやハーブ、薪の香りが漂い、焚き火を囲んで乾杯しながら夏の始まりを祝います。
文化・歴史的背景
聖ヨハネ祭(ラソス)は、太陽や自然、露の女神ラサを讃える古代の夏至祭に起源があります。魔除けや豊穣祈願として薬草を集め、花冠を編み、焚き火を焚くなどの儀式が行われてきました。キリスト教伝来以降は洗礼者ヨハネの祝日と融合し、異教とキリスト教が共存する独自の夏至祭として発展。外国支配下でも民族のアイデンティティと希望の象徴として守られてきました。現代でも世代を超えて受け継がれ、自然・音楽・未来への願いを共有する“生きた伝統”です。
参加者の声
観光で参加したら、花冠流しに誘われました。私の花冠が見知らぬ人のものと並んで流れ、みんなが“1年以内に結婚だ!”と大盛り上がり。旅の中で一番ロマンチックな夜でした。
豆知識
- 伝説の「シダの花」探しは、夏至の夜だけ咲くとされる架空の花を探す若者たちの冒険。見つけると幸運が訪れると言われています。
- 「ラソス(Rasos)」はリトアニア語で「露」の意味。朝露で足を濡らすと美しく健康になるという言い伝えがあります。
- ヨナス(Jonas)、ヤニナ(Janina)という名前の人はこの日がネームデイで、特別な歌やプレゼントで祝われます。
- 「クポレ」と呼ばれる花とハーブで飾られた生命の木のポールは、祭りのシンボルです。
- 焚き火を飛び越えることで、1年の厄や病気を払い、幸運を呼び込むと信じられています。
開催日程
聖ヨハネ祭(ラソス)は毎年6月23日〜24日にリトアニア各地で開催され、特にケルナヴェ、ヨナヴァ、ヴィリニュスで大規模なイベントが行われます。
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