クケリ祭り スルヴァ
ブルガリアの冬を追い払う、精霊と火と鐘の祝祭
2026/01/22 - 2026/01/24
クケリ(スルヴァ)は、ブルガリアで冬の悪霊を追い払い春の訪れを願う、仮面と鐘の伝統的な祭りです。
毎年冬、ブルガリアのペルニクの町は「スルヴァ祭」で色と音と原始的なエネルギーに包まれます。これはブルガリア最大のクケリ(仮面の踊り手)祭りで、3日間にわたり何千人ものクケリたちが怪物のような衣装と大きな鐘を身に着けて街を練り歩き、悪霊を追い払い春を呼び覚ますと伝えられています。民俗好きだけでなく、古代の儀式やコミュニティの熱気を全身で味わいたい人にぴったりの、五感を揺さぶる体験です。
鐘の轟き、毛皮や羽根のきらめき、焼き肉の煙の香ばしさ、そして寒い1月の夜に灯る焚き火のぬくもり。スルヴァは神話と現実が交差する、訪れる人すべてを巻き込む祝祭です。
主な見どころ
クケリ大パレード
スルヴァの中心はクケリの大パレード。ブルガリア全土や海外から集まった6,000人以上の踊り手たちが、手作りの巨大な仮面(2メートルを超えるものも!)や毛皮、羽根、ビーズで飾った衣装をまとい、街の中心を跳ねたり踊ったりしながら練り歩きます。腰に付けた何百ものカウベルが鳴り響き、悪霊を追い払い豊作を願うとされています。
主なイベント
パレード以外にも、火渡りの儀式、野外コンサート、フォークダンス大会など盛りだくさん。夜には広場で焚き火が燃え上がり、クケリたちが炎を飛び越えて浄化と再生を象徴します。ストリートパフォーマンスや人形劇、子ども向けワークショップもあり、家族みんなで楽しめます。
衣装と装飾
クケリの衣装は民俗芸術の傑作。重厚な羊毛のマント、鮮やかな赤・白・黒で彩られた木製の仮面、動物の角や歯、リボンなどの装飾が特徴です。ごつごつした毛皮の手触りや、鈴の重みと音は一度体験したら忘れられません。街や家々もガーランドや松の枝、ブルガリア刺繍で華やかに飾られます。
伝統グルメ&ドリンク
グルメも充実。屋台では焼きたてのケバプチェ(ミンチ肉のグリル)、バニツァ(チーズ入りパイ)、豆の煮込みなどが並び、ホットワインやブルガリアの蒸留酒ラキアも人気。焼き肉や甘いペストリー、薪の煙の香りが冬の空気に溶け込みます。
文化・歴史的背景
クケリの伝統は、紀元前6世紀ごろの古代トラキア時代に起源を持つとされており、もともとは冬の終わりと春の訪れを祝うための異教の祭儀でした。人々は動物の毛皮や木製の仮面を身につけ、悪霊や病気、災いを追い払い、豊作や健康を願って踊り歩きました。この祭りは、ブドウやワインの神ディオニソスに捧げる儀式とも結びついていたと考えられています。
仮面はヤギや羊の皮、色とりどりの糸やビーズ、鏡の破片などで装飾され、黒は土や火、白は水や光など、それぞれに自然や再生の象徴的な意味が込められています。腰に付けた大きなベルの音で悪霊を追い払うのが重要な要素で、重いもので30~40kgにもなることもあります。
ブルガリアがキリスト教化された後も、クケリの伝統は各地の村や町で形を変えながら受け継がれ、地域ごとに独自の衣装や踊り、儀式が発展しました。特にペルニク地方では、古くから新年や春の到来を祝う「Surova(スロヴァ)」という仮面行事が行われており、この伝統が現代の「Surva(スルヴァ)」フェスティバルの原型となっています。
ユネスコ無形文化遺産に登録されているのは、ペルニク地方の「Surova」の伝統的な仮面行事です。Survaフェスティバルは、このSurovaの精神と儀式を現代に受け継ぎ、国際的な祭典として発展したものです。クケリはブルガリア人にとって祖先から受け継いだ精神や地域の誇り、コミュニティの絆を象徴する“生きた文化遺産”として、今も大切に守られています。
参加者の声
ドイツから観光で来ましたが、エネルギーとおもてなしに圧倒されました。クケリの青年が、父や祖父から仮面作りを教わったと話してくれて、実際に衣装を着せてもらいました。重くて暑くて羊の匂いがして…でも別人になった気分でした。夜の火渡りも一番印象的でした。広場が炎で照らされ、クケリたちが次々に飛び越えると、みんなが歓声を上げていました。地元の家族と熱々のバニツァを分け合い、言葉が通じなくても一緒に笑いました。
豆知識
- クケリの仮面は10kgにもなり、手作りで数ヶ月かけて作られる。
- ブルガリア各地でクケリの衣装や儀式のスタイルが異なる。
- 一部の仮面には、家や家族を1年守る魔力があると信じられている。
開催日程
スルヴァ祭(クケリ)は毎年1月下旬、ブルガリア・ペルニクで開催されます。最新の日程や詳細は公式サイトをご確認ください。
開催が近いお祭り
モンスのデュカス祭り ベルギー
ドラゴンの咆哮が街をひとつにする伝説と歓喜の一週間
2025/06/11聖アントニオ祭り(いわし祭り) ポルトガル
リスボンが恋とサルディーニャに染まる、初夏の祝祭
2025/06/11聖アントニオ祭り(いわし祭り) ポルトガル
リスボンが恋とサルディーニャに染まる、初夏の祝祭
2025/06/11セフルー・チェリーフェスティバル モロッコ
春と美とコミュニティを祝うモロッコの甘い祭典
2025/06/12バナナスプリットフェスティバル アメリカ
小さな町に広がる、甘くて懐かしい夏の幸せ
2025/06/13ヘルシンキサンバカーニバル フィンランド
北欧の夏に咲く熱帯の花火
2025/06/13バナナスプリットフェスティバル アメリカ
小さな町に広がる、甘くて懐かしい夏の幸せ
2025/06/13バリ・アートフェスティバル インドネシア
色彩と舞踊、島の魂が躍動する一か月
2025/06/14狂人の祭り メキシコ
サン・ミゲルが熱狂する色と笑いとカオスの祭典
2025/06/17ベルガのラ・パトゥム祭り スペイン
巨人と悪魔の炎の舞